浅見優月さん『嘘エッセイ集 虚』
タイトル通りすべて虚構のエッセイ集なのだが、これは小説ではないというのがミソだ。妙にディテールが細かく、どうして嘘なのにこんな解像度で書けるのか分からなくて怖かった。誰の体験でもない体験談を読ませて、浅見さんはいったい読者をどうしたいんだ。文章が上手でスラスラ読めてしまうのが逆に嫌という、経験したことのない気持ちに襲われた。
1nei がこれまでに買い集めた ZINE のコレクション。ZINE イベント、書店で出会った一冊を、書影と短い感想とともに記録しています。書影をクリックすると詳細が開きます。
タイトル通りすべて虚構のエッセイ集なのだが、これは小説ではないというのがミソだ。妙にディテールが細かく、どうして嘘なのにこんな解像度で書けるのか分からなくて怖かった。誰の体験でもない体験談を読ませて、浅見さんはいったい読者をどうしたいんだ。文章が上手でスラスラ読めてしまうのが逆に嫌という、経験したことのない気持ちに襲われた。
子どもの頃は虫をつかまえたり、石ころを蹴っ飛ばしながら帰ったり、自由帳に落書きしたりという安価で小さな時間の過ごし方ができていたものだが、大人になるとなぜかそれが難しくなってしまう。このZINEは、YouTubeやゲームなどを受動的に消費するだけでなく、大人だって能動的に遊ぶこともできるはずだ、という提案である。
職場の前に柿を干していたら紐ごとハサミで切られて盗まれたnemoさんによる怒りのZINE。当然盗ったほうが悪いのだが、盗られた側の執念に圧倒されて、泥棒が少々かわいそうになってくる。
編集者の今井さんによる、「写り方」の本。写真を仕事にしている者として、写る側の視点は新しく、普通に助かった。
人物のポートレートを撮る時、カメラマンは構図や光の向き・質、カメラの設定に集中したいので、モデルのポーズや表情、服装等に割く意識はなるべく少なくしたいわけだが、この一冊があればモデルへの指示がかなり楽になる。
良い子でいたら幸せになれるんじゃなかったのかよ。良いタイトル。良い子でいても、良い子でいなくても、自動的に幸せになれるわけではない。他人から見たら恵まれているように見えても、本人には本人の地獄がある。気にしないようにしていても、年齢だけは勝手に上がり、また考え方が変わっていく。人生は仮決定の連続でしかない。自分の人生に直面して、前を向きたくなるような一冊だった。
エッセイ集。パンデモニウムとは無秩序、混乱のことだそうだ。あとがきに“「認識の網目が細かすぎる」と友達に言われた”と書かれているが本当にそうだと思う。文章がうまい人は哀しみを背負っている。
高崎に生まれ30カ国を旅して3つの会社で勤務、その後2024年に高崎でゲストハウスをひらいた野村さんの開業記録。
開業前・開業後の困難とおもしろさがとても読みやすく書かれている。この本は “文章を書くことが、昔から好きだった。” から始まるが、それにしても文章がうまい。「文章力」がある。